ノルウェイの森

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

物語の主人公、またまわりの登場人物たちに、自分に共通するものを感じたので、「ノルウェイの森」が描く世界には素直に読んでいくことができた。時代背景が違っても、人間の心理は共通しているように思った。誰にでも心の闇はあるし、弱く不完全な部分がある。生きることは死の延長線上にあり、誰もが死への可能性を孕んでいる。
自分のように生きている世界を「壊れやすいもの」「希望のないもの」と考えているものにとっては共感できるが、自分を強く持っている人からは、反発をうけるかもしれない作品であり、賛否両論があると思われる作品。
パッケージの「恋愛小説」を額面どおりに受け取ってしまうと作品の印象が変わってしまうなぁと思ったりする。深い意味では「恋愛小説」と定義することには問題はないが、一般的な言葉の意味として使われる「恋愛小説」とはかなり趣を異にしているから。