白乙一 2日目

きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)

きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)

「Calling You」
乙一作品の中で「せつなさ」が大きい作品だと思う。
途中ぐらいから、「時間のずれ」のからくりがわかった。乙一作品にしてはからくりが簡単であった。
ただ、作中で語られていた時間のずれが最終的に、「せつなさ」を大きくするとは予想できなかった。(案外、最初のからくり「時間のずれ」は本物であるがデコイであり、これが乙一氏の狙いなのかも知れない。)

「傷-KIZ/KIDS-」
これは、五体満足(環境要因も含めて)である人々には考えさせられる話ではないだろうか。
「正常」と思っている自分達が「異常」ではないのか…と。
少年達の純粋すぎる感情が、せつなく、痛い。

「華歌」
これも、「せつなさ」を題材とした話。病院という狭い空間、病室という狭い空間の中での様々な出来事。
突然、自分達の元に現れた少女の顔を持つ「華」。なぜ、この華は生まれたのであろう…

<補足>この作品は乙一作品を読んでいると「やられた!」と苦笑いをしてしまう作品でもある。

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

「幸せは子猫のかたち」
端的に表わすと、「せつなさ」×「ミステリ」と言った感じ。(ミステリ要素は最期だけ、それも誰が犯人であるかはすぐにわかるのだが。)大本は、少女の幽霊、白の子猫との心温まる日常である。

「失踪HOLIDAYS」
これは頭のねじを何本か抜いた状態で、気楽に読むことをオススメする。難しく考えてもよいのだが、それよりは気楽に主人公のタカビーな少女とそれに振舞わされる気弱で天然なお手伝いとのやり取りを楽しむのが、この作品の楽しみ方であると思う。